自分で遺言を書いてみたいんだけど、何から始めればいいのかな?

ふじい行政書士

愛知県で【相続手続・遺言作成】を専門に行っている女性の行政書士です。
ここでは、自筆証書遺言を具体的にどういった流れで作るのかご説明しますよ!

【この記事の信頼性】
遺言作成や相続手続を専門に行っている行政書士自らが書いています。
・実際の業務で150件以上の相続手続を行っており、豊富な経験に基づいたアドバイスを記載しています。
・建前と本音(実務)をあわせて掲載しており、単なる知識だけではなく、実際の手続きでお役に立てます。

自筆証書遺言を作る時の流れ

まずは、どういった流れで自筆証書遺言を作るのか、見てみましょう。

①必要なものをそろえる
自分で遺言を書くための紙やペン、印鑑などをそろえましょう。
②財産目録を作る
パソコンで作っても構いませんし、簡単なメモでもいいので、自分の財産をまとめた目録を作ってみましょう。
③法定相続人を確認する
自分の相続人が誰になるのか、相続関係図などを作って確認してみましょう。また、相続人以外に財産をあげたい人も考えてみましょう。
④財産の分割方法を考える
②と③の内容をもとに、誰にどの財産をあげるのか考えてみましょう。それぞれの相続人に、どれぐらいの割合で財産を分配することになるのか計算してみましょう。
⑤実際に遺言を自筆する
いよいよ実際に遺言を書いてみましょう。
書く内容や修正方法が正しくないと、せっかく作った遺言が無効となってしまいます。正確に作成するようにしましょう。

それぞれの項目について、具体的に自筆証書遺言を作る方法を見てみましょう。

①必要なものをそろえる

ふじい行政書士

まずは形から!
遺言を書くための文房具等をそろえましょう。

紙とペン

これが無いと始まりませんね!

遺言を書くための紙は特に指定はありません。
実際の相談で、相続人の方から、亡くなった方の遺言書を見せていただく際も、便せんのようなものに書かれている方もいれば、遺言キットなどを使用されている方もいらっしゃいます。

大きさも特に決まりはありませんが、封筒に入れるので、A4やB5サイズがいいのではないでしょうか。
紙質はあまり薄いものはお勧めしません。

和紙に筆ペンだと、確かにかっこいいイメージはありますが、遺言が開封されるのは長い保存期間の後です。
保管に耐えられる厚さの紙(といっても普通の紙でいいですが)にしましょう。

ペンは、ボールペンでも万年筆、サインペンなどでもいいです。
かすれたり、インクが薄いと、遺言書が無効になる危険がありますので、しっかりと字が見えるものにしましょう。
鉛筆や消えるボールペンなど、改ざんの恐れがあるものはやめましょう。

封筒

書いた遺言書は封筒に入れて、封印した上で保管しておきましょう。
封印しておかないと、誰かが改ざんしても気がつかない可能性があります。

遺言作成キットなどでは、表に「遺言書」などと書かれたものが入っていますが、家にある普通の封筒で問題ありません。
家族が見つけられないといけないので、表に「遺言書」と書いておきましょう

印鑑

自筆証書遺言の場合、必ず全文と日付、名前を自筆で書く必要があります
また、名前のところや、訂正箇所に押印する必要があるので、印鑑も用意しましょう

よく聞かれるのが「実印の方がいいですか?」という質問。
自筆証書遺言の規定からすると、認印でもOKです。
ただ、揉め事を避けるという点や、確かに本人が書いたことが分かるため、心配であれば実印を使われるのがいいと思います。

②財産目録を作る

ふじい行政書士

これを機にご自分の財産についてまとめてみましょう。
使っていない銀行口座があれば解約したり財産をまとめてみることで、相続人が行う相続手続が楽になります。

私の財産って言っても、不動産や株も無いから、銀行の預金ぐらいだけど・・・。それでも財産目録ってあった方がいいの?

ふじい行政書士

財産の総額を計算したり、遺留分を考える上でも、財産目録はあった方が便利です。
また、財産目録は自筆ではなくパソコンなどで作ってもOKなので、簡単にでもいいので作成してみましょう。

「財産目録」というとすごく大げさな気がしますが、簡単なものであれ、作成しておいた方がいいです。

せっかく紙とペンを用意したのに、すぐに書かないの?と思われるかもしれませんが、遺言を作っても、書いて無い財産があると、それについて結局、遺産分割協議をしなければなりません

たとえば、遺言書に載っていない故人の不動産が見つかったら、その不動産についてだけ遺産分割協議書を作成しないと、その不動産の相続ができません。

そのためにも、まずは財産目録を作って、ご自身の財産を見直してみましょう。
この時に、使っていない銀行口座などは解約しておきましょう。

また、財産目録を作ってみると、中には相続税申告が必要な方もいるのではないでしょうか?
その場合、今から節税対策を始めることができます。

民法の改正により、財産目録は手書きでなくてもOKとなりました
パソコンで作っても、紙に書きだしてみてもいいので、遺言を書く前に、財産目録を作りましょう。

財産目録を作ることで、誰に何をあげるかということも一目でわかりやすくなります。
また、法定相続分で平等に分ける際も財産目録があった方がわかりやすいですよ。

ここで、一つ注意点!
「財産」にはプラスの財産とマイナスの財産があります。
マイナスの財産とは借金やローンなどの債務のことです。
相続人は故人のマイナスの財産も引き継ぐことになりますので、それらも財産目録にあげておきましょう。

③法定相続人を確認する

うちは子供がいないから、相続人は夫だけかしら?

ふじい行政書士

誰が相続人になるかは、法律で決まっていますよ!
遺言を書く時に誰が法定相続人かは大事なことなので、分かっているつもりでも、もう一度確認してみましょう。

ご自身の財産をすべて書き出したら、次に行うのは、ご自身の法定相続人の確認です。
自分が今亡くなったとしたら、誰が相続人になるのでしょうか?

法定相続人は、好きに選べるわけではなく、法律で決まっています。
↓具体的な法定相続人の確認方法はこちらから
「相続人が誰か調べる ~相続順位と相続割合について~

④財産の分割方法を考える

次に、ご自身の財産について、誰に何を渡すかを考えます。
もちろん、法定相続人以外の方に財産を渡すこともできます

この時に注意したいのが、「遺留分」についてです。
相続の際に相続人同士がもめないよう、遺留分にも配慮した遺言書を作成しましょう。

「遺留分」って言葉はよく聞くけど、いまいち分からないわ。

ふじい行政書士

「遺留分」は法律で決められた相続人の権利のことです。遺言には遺言者の好きな分け方を書くことができますが、一定の相続人の相続する権利(遺留分)までは奪うことができないので、気をつけましょう。

⑤実際に遺言を自筆する

書く内容、分け方が決まったら、実際に遺言を手書きしてみましょう。
手書きする前に、下書きをパソコンで作ってもいいかもしれません。

作った日付、署名、押印を忘れずに。
書き終わったら封筒に入れて、自宅保管の場合は封印しましょう。
封筒にも、日付、署名、押印の3点セットを忘れずに。

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