相続財産の分け方ってどうやって話し合えばいいのかしら?

ふじい行政書士

愛知県で【相続手続・遺言作成】を専門に行っている女性の行政書士です。
遺産分割の方法は、おもに3種類ありますよ!それぞれの分割方法や、特徴についてご説明致します。

【この記事の信頼性】
遺言作成や相続手続を専門に行っている行政書士自らが書いています。
・実際に業務で多くの相続手続を行っており、豊富な経験に基づいたアドバイスを記載しています。
・建前と本音(実務)をあわせて掲載しており、単なる知識だけではなく、実際の手続きでお役に立てます。

遺産分割の3つの方法

ふじい行政書士

遺産分割には、「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3種類があります。それぞれにメリット、デメリットがありますよ。
これらを組み合わせた分割方法を相続人同士で決めてもかまいません。

3種類の分割方法について、具体的に説明していきます。

現物分割とは?

現物分割?聞いたことない。どうやって分けるの?

ふじい行政書士

現物分割は文字通り、「現物(家とか預金とか)」ごとに分ける方法ですよ!

実際に、次のような相続のケースで考えてみましょう。

相続例

相続財産:自宅不動産(2000万円)、預貯金1000万円、株式1000万円の合計4000万円
相続人:妻、子2人(長男、長女)

まず、各自の法定相続分を考えてみると、次のようになります。
妻:2分の1(2000万円)
長男、長女:4分の1(各1000万円)

現物分割だと、例えば以下のような分割になります。

・自宅不動産(2000万円)→妻
・預貯金(1000万円)→長女
・株式(1000万円)→長男

分割方法もわかりやすく、シンプルです。
ただし、上記事例のように、法定相続分でキレイに分割ができればいいのですが、実際の相続ではそううまくはいきません。
というより、こんなにキレイに法定相続分で分けられるケースはほぼ無いといっていいと思います。

それでは、次に、現物分割のメリット、デメリットをご説明したいと思います。

現物分割のメリット

  • それぞれが単独相続となるため、相続手続きが簡単!
  • 共有財産とならないため、(特に不動産などで)その後の財産処分が簡単!

現物分割のデメリット

  • 実際の相続では、法定相続分で分かるのは困難で、不公平感がでる

たしかに、ちょうど法定相続分の財産ばかりじゃないから、多くもらえる人と少ない人がでてしまう気がする。

ふじい行政書士

あまり法定相続分できっちり分けようとせず、手続きやその後の処分の簡単さを優先する方にはオススメですよ。

代償分割とは?

ふじい行政書士

代償分割とは、特定の相続人が相続財産を取得する代わりに、他の相続人に代償金を支払うという分割方法です。

相続例

相続財産:自宅不動産(2000万円)のみ
相続人:子2人(長男、二男)

法定相続分は、相続人が子供二人なので、それぞれ2分の1(1000万円)となります。

このケースで代償分割をすると、こうなります。

自宅不動産(2000万円)→長男
長男から二男へ代償金:1000万円

長男は、不動産をもらう代わりに、自身の財産から1000万円を二男に支払うことになります。
現金ですぐに支払えるのであれば何の問題もありませんが、不動産の評価額は大きい場合が多いため、不動産をもらう人の負担が大きくなってしまいます。

また、まれにですが、この内容で遺産分割協議書に署名したにも関わらず、なかなか代償金が支払われないといった相続人間でのトラブルもあります。

上記ケースで自宅不動産を長男・二男の共有名義にするという方法もありますが、不動産が長男の自宅でもある場合(故人と同居していたなど)は二男にも名義がついてしまうことになりますし、仮にその後売却するにしても二人ともが同意しないと売却が困難となります。
また、例えば二男が借金の担保として抵当に入れることもできるため、権利関係が複雑になります。
後の相続も考えると、不動産の共有名義はお勧めしません。

代償分割のメリット

  • 共有財産にならないため、のちの売却などが簡単!
  • 法定相続分で分けやすいため、不公平感が少ない!

代償分割のデメリット

  • 代償金の負担が大きい

たしかに亡くなった人と同居していたら、自宅は相続したいわね。でも、相続財産に現金が少ないと、自分の財産から代償金を払うのは大変だわ。

ふじい行政書士

代償金は必ず法定相続分を払わないといけないわけではありませんが、不動産などを相続しない人が不公平に感じないよう、相続人同士でよく話し合いましょう。

換価分割とは?

ふじい行政書士

「換価分割」とは、不動産などの相続財産を現金に換えてから分割する方法ですよ!

相続例

相続財産:自宅不動産(2000万円)のみ
相続人:子2人(長男、二男)

先程の代償分割と同じ相続例で、換価分割をするとどうなるか見てみましょう。

自宅不動産→(相続人に名義変更※)→(2000万円で売却)→長男・二男が1000万円ずつ現金でもらう

※相続人への名義変更は、長男単独でも構いませんし、長男・二男共有でも構いません。
名義をつけた方が実際の売却手続きを行います。

実際に現金が手元に入ってから分割するため、どちらにも代償金のような負担が発生せず、実務でもよく使われる相続方法です。

また、財産目録を作る際、相続財産の評価方法は「死亡日時点での評価額」となり、実際の売却金額とは異なります。
上記事例で、相続財産としての評価額(目録上):2000万円、売却額:2500万円となる場合ももちろんあります。
その場合、換価分割であれば、各自1250万円ずつ現金でもらえます。
死亡日時点での評価額で分割方法を決めてしまうと、売却時の価格と異なるため、現物分割や代償分割では、不公平感がでてしまいます。

株式などの価格変動がある財産だと、さらに評価額と実際の売却価格に差がでる場合があります。
死亡日時点で高値だった株を相続しても、実際名義変更した時点で株価が暴落していたら・・・
預貯金と異なり、不動産や株式といった値動きがあるものは、相続する方の賭けになってしまいます。
換価分割であれば、実際の売却額で分けるため、公平な分割が可能です。

換価分割のメリット

  • 公平な分割が可能!
  • 代償金など自身の財産から持ち出す必要がない!

換価分割のデメリット

  • 売却が前提となっているため、不動産など売れないと現金がもらえない
  • 売却のタイミングを決めるのが難しい

なるほど~。いろいろな分割方法があるのね。
どれにしようか迷うわ~。

ふじい行政書士

実際の相続では、これらの分割方法を組み合わせて、最終的な分け方を決めますよ!特に、不動産や株式は、相続した後の運用方法などをお聞きしてから、最適な分割方法を提案しています。

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