財産目録なんて作ったことないわ。どうやって作るの?

ふじい行政書士

愛知県で【相続手続・遺言作成】を専門に行っている女性の行政書士です。
「財産目録」といっても、そんなに形式はこだわる必要はないですよ。どこかに提出するわけではなく、相続人同士で話し合うためのツールなので、簡単に表を作るだけでもいいですよ。
合計金額を正確に計算するためにも、エクセルなどの計算ができるソフトがお勧めです!
ここでは、財産目録の見本と、財産の評価方法についてご説明しますよ。

【この記事の信頼性】
遺言作成や相続手続を専門に行っている行政書士自らが書いています。
・実際に業務で多くの相続手続を行っており、豊富な経験に基づいたアドバイスを記載しています。
・建前と本音(実務)をあわせて掲載しており、単なる知識だけではなく、実際の手続きでお役に立てます。

財産目録の見本

財産目録の見本ってないかな?何も無しだと作れないわ。

ふじい行政書士

ここでは、財産目録の見本をご紹介しますね。
必ずしもこの通りに作らなくても大丈夫ですよ!
下の表からダウンロードできます。

財産目録見本Excel

相続財産の評価方法

やっと財産目録ができたわ。
でも、預金は金額が分かるけど、不動産っていくらで評価したらいいの?

ふじい行政書士

不動産や株などの相続財産は評価方法が決まっていますよ。細かく言うと、相続税申告する場合の評価方法が決まっているのですが、相続税申告しない方も同じ評価方法を使っていいですよ!
それぞれの財産の評価方法をご説明しますね。

不動産の評価方法

相続税申告がある場合、不動産の評価方法は決まっています。
相続税申告が無い場合も、この方法を参考に財産目録に不動産の評価額を計上しましょう。

不動産の評価方法について、詳しくはこちら。

預貯金の評価方法

預金の場合は、比較的簡単です。
残高証明書を取っている場合は、亡くなった日の残高を目録に計上しましょう。
目録には、銀行ごと、口座ごと、定期なら各契約番号ごとに、細かく計上していきましょう。
あとで遺産分割をする際に、分割しやすくなります。

また、定期などで経過利息がある場合は、利息を含めた残高を計上しましょう。

残高証明書を取っていない場合は、通帳の残高をそのまま計上しましょう。
ただし、相続財産は「亡くなった日現在の財産」となるため、亡くなった日の直近の金額を載せましょう。

たとえば、4月3日に亡くなって、通帳の入出金が、4月2日と4月4日にある場合は、4月2日(亡くなった日の直近)の残高を相続財産としましょう。

株・投資信託の評価方法

不動産と同じように、相続税申告がある場合、株や投資信託の評価額も決まっています。
相続税申告が無い場合も、同じように計上しましょう。

投資信託は基本的に預貯金と同じです。
残高証明書を取れば、亡くなった日現在の残高を銀行側が計算してくれます。

株の評価方法について、詳しくはこちらから。

保険金額の評価方法

保険については、保険の種類によって金額が異なります。

生命保険

まず、生命保険については、受取人固有の財産なので、相続財産には含まれません。
つまり、相続の分割の対象にはならず、無条件に受取人に指定されている方がもらえる財産になります。
ちなみに、生命保険は他の相続人の協力が無くても、受取人だけで手続きできるため、遺産分割を待たずに受け取りができます。

そのため、生命保険は本来、財産目録に計上する必要がないのですが、相続税申告がある場合は、生命保険の基礎控除の計算をするため、目録にも計上します。
このあたりは相続税申告があるかどうかのチェックでは重要なところですが、基本的に税理士さんが計算してくれるので、明らかに相続税申告が無い場合は、生命保険は財産目録に入れなくてもいいです。

医療保険

医療保険が相続財産になるの?と思われるかもしれませんが、相続財産とは「亡くなった方が受け取るはずだった財産」も含まれます。
そのため、たとえば亡くなる前に入院していた場合などは、医療保険で日額いくらだったり、入院一時金、手術一時金などもらえる場合があります。(詳しくは故人が加入していた保険証書を確認しましょう)

それらも、相続財産として分割の対象になる場合があります。
保険の内容はさまざまなので、わからない場合は保険会社に、おりる保険金があるかどうか、それが相続財産となるのかどうかを確認してみましょう。

建更

農協(JA)の建更などの加入している場合、解約すると支払われるお金があります。
建更については、預貯金などと同じように解約返戻金相当額証明書(亡くなった日に解約するといくらもらえるか)を取って、その額を財産目録に計上しましょう。
この解約返戻金相当額というのは、保険証書を見ても分かりません。
JA側に計算してもらいましょう。

その他の保険

上記保険以外にも、たとえば年払いで保険料を払っている保険は、年の途中で亡くなると、亡くなった後の保険料を返してくれる場合があります。
それらは、月払いなら支払う必要がなかったからです。
保険料が返ってくる場合、それも相続財産に含まれる可能性がありますので、保険会社に確認してみましょう。

車の評価方法

車の評価額は、近くの車屋さんなどで査定をしてもらって、計上しましょう。
その際に、査定価格が分かるものを必ずもらっておきましょう。

「まだ車は売らないし、相続して乗り続けるつもり」という方も、相続財産を分ける際に車がいくら相当なのかを知っておいた方が、他の相続人と平等に遺産分割をすることができますよ。
もめないように、不公平にならないよう、第三者(車屋さんなど)に車の価格を調べてもらいましょう。

少しもめている相続などで、各相続人が独自に車の査定価格を調べている場合があります。
当然、車をもらう相続人は安い査定を採用したいですし、もらわない相続人は車の評価額を上げたいからです。
この場合、不動産や株のように、この査定方法を採用してくださいといった指標などがないため、相続人同士の話し合いで決めることになります。
あまり、何社からも査定をする・・・といったことは控えた方がいいかもしれません。

現金

現金は、亡くなった方のお財布にあった現金や、家の中にあった現金をすべて足して、目録に計上しましょう。
細かく1円単位で計上してもいいですし、だいたい「10万円ぐらい」などでも大丈夫です。
相続税申告のある場合は、正しく計算しましょう。

貴金属・骨董品

相続税申告がある場合は、「家財一式20万円」といったように、亡くなった方のご自宅にある家電や家具などを一式まとめて目録に計上します。
相続税申告がない場合は、通常の生活範囲内の家具・家電は目録にあげないことが多いですが、高価な貴金属や骨董品などがある場合は、車の時と同じように、近所の買取専門業者などに査定してもらって、財産目録に計上しましょう。
「高価な」の目安が難しいですが、私が普段、相続手続する場合は、だいたい10万円を超える場合は目録に載せたりしています。
これも、相続税申告がない場合は、相続人同士の相談で決めていいと思います。

最後に、相続税がかかるか確認しましょう

よしっ。財産目録ができて、金額も全部計算したわ。これでOKよね?

ふじい行政書士

ちょっと待ってください。
相続財産総額がわかったところで、相続税申告が必要無いか確認してみましょう!相続税申告は10か月という期限があるため、必ずチェックしましょう。

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