親と同居の子に必要な相続対策とは?|相続でもめないためにできること
親も年々、歳をとってきて、そろそろ相続対策しておいた方がいいかも?とお考えの皆さま!
その心配は間違っていません。
相続の手続きを行っていると、「遺言さえあれば!」と思うことが多々あります。
今回は、特に、子の一人が親と同居しているケースについて、考えてみましょう。
親との同居
親が高齢でも、子が一人であれば、あまり問題にはなりません。
同居していようが、別居であろうが、その一人の子がすべて相続するからです。(※配偶者がすでに他界している場合)
子が複数いる場合、親の財産を子が均等に分ける必要がでてきます。
すべての子が親と別居しているのであれば、問題ありませんが、子のうち一人が親と同居している場合、どのような問題がでてくるのでしょうか?
相続で問題となりやすいケース
たとえば、こんなケースの相続について、考えてみたいと思います。
【例】
・父と長女一家が同居している(母はすでに他界)
・自宅の土地、家屋は父名義
・父の相続人予定者は、子3人(長女、長男、二男) ※長男、二男は父と別居
・父の相続財産は、不動産(1500万円相当)、預金1500万円の合計3000万円
父の相続が発生すると、父の財産は子3人で分けることになります。
法定相続分で均等に分けるとすると、子はそれぞれ1000万円ずつ相続することになります。
相続財産3000万円×1/3(子の法定相続分)=1000万円
しかし、問題は長女一家が父と同居しているという点です!
長女は当然、自宅の土地と家を相続したいと考えます。
そのため、仮に長女が自宅不動産を相続すると、こういった分割になります。
長女が自宅をすべて相続した場合
・自宅不動産:長女(1500万円相続)
・預金1500万円:長男、二男が均等に相続(それぞれ750万円ずつ相続)
この分割で3人の話がまとまれば、何の問題もありません!
実際にそういったご家庭も多いかと思います。
しかし、長男、二男がこれを不服とし、「すべての財産を均等に分けよう!」と言い出すとこうなります。
法定相続分で分けた場合
それぞれの法定相続分は1000万円ですので、分割方法としてはいくつか選択肢があります。
①長女が自宅をすべて相続し、代償金を弟たちに支払う
・自宅不動産:長女相続(1500万円)
・預金1500万円:長男750万円、二男750万円相続
・長女が長男、二男へ代償金として長女個人の財産から250万円ずつ支払う
→これが現実的な解決方法かと思います。
ただし、長女が500万円を現金ですぐに用意できる必要があります。
払えないと、最悪、自宅を売却するという結果になってしまいます。
②自宅を共有名義にする
・自宅不動産:子3人の共有名義(持分1/3ずつ)
・預金1500万円:子3人が500万円ずつ相続
→長女は自分が住んでいる家に弟の名義がついてしまいます。
長女も現金を相続できる点ではメリットがありますが、自宅の今後の処分等も含めて、この状況は避けたいところです。
対策方法
こういった場合、父に遺言を書いてもらうことが有効です。
父も長年面倒を見てくれて長女に自宅を相続してもらいたいと考えていると思います。
たとえば、こんな遺言を書いてもらう。
遺言内容
・自宅不動産は長女に相続させる
・預金は子3人で均等に分ける
・その他の財産はすべて長女に相続させる
これで、長女を遺言執行者にしておけば、スムーズな相続手続ができます。
遺言が無いと、遺産分割協議書を作って、長男、二男が納得するまで、不動産の名義変更や預金の解約が進められません。
遺言さえあれば、遺言書を使って相続手続を進めることができます。
遺言があれば、長男、二男の遺留分(上記事例であれば500万円)も確保できていますので、仮に長男、二男が不服と思っても遺留分請求できません。
このように、生前に遺言を書いておくことで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。
ぜひとも、一度ご家族で話し合ってみてください。
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