【専門家監修】相続手続に印鑑証明書って必要?
相続手続に「印鑑証明書」が必要って言われたんだけど、ホントかしら?
悪用されたらヤダな。
愛知県で【相続手続・遺言作成】を専門に行っている女性の行政書士です。
相続手続で他の相続人の方から「印鑑証明書を取ってきて」と言われたりしますよね。印鑑証明書ってどうして必要なんでしょうか?
ここでは、相続手続と印鑑証明書の関係についてご説明しますよ!
【この記事の信頼性】
・遺言作成や相続手続を専門に行っている行政書士自らが書いています。
・実際に業務で150件以上の相続手続を行っており、経験に基づいたアドバイスを記載しています。
・建前と本音(実務)をあわせて掲載しており、単なる知識だけではなく、実際の手続きでお役に立てます。
相続手続で「印鑑証明書」って耳にしますよね。
まずは、印鑑証明書の基本的なところからまとめてみました。
「印鑑証明書」とは?
実務では、「印鑑証明書」と呼んでいますが、実際は「印鑑登録証明書」といいます。
住民票が置いてある市役所(区役所)に自分の実印を登録しておいて、その印鑑が実印ですよという証明書が「印鑑登録証明書」です。
役所が発行してくれます。
基本的に15歳以上の方しか登録できず、一人につき登録できる印鑑は一つだけです。
ちなみに特に立派な印鑑でなくても、三文判とかでも登録できます。
ご本人が顔写真付きの身分証を持っていけば、登録した当日に印鑑証明書ももらえます。(手数料が必要です)
代理人による印鑑登録や、印鑑証明書の交付も可能です。
詳しくは、ご自身がお住まいの市町村のホームページをご確認ください。
相続では必ず印鑑証明書がいります
まず、相続手続で印鑑証明書は必須です。
相続人となったら、いずれは実印の登録が必要となります。
相続では印鑑証明書はマストと覚えておきましょう。
相続で印鑑証明書が必要な理由
相続で印鑑証明書が必須ということはご理解いただけたと思いますが、それではどうして必要なんでしょうか?
相続財産をみんなで分ける際、「遺産分割協議書」というものを作ります。
亡くなった方の相続財産について、誰がどの財産を相続するのかをまとめた書類です。
この遺産分割協議書に、相続人全員が「署名、実印を押印」します。
勘がいい方ならもうお気づきかもしれませんが、実印を押す以上、その印鑑が実印である証明が必要ですよね。
そのために、印鑑証明書を提出する必要があるのです。
そうでないと、押した印鑑が果たして本当に本人の印鑑なのか分かりません。
100均で買った印鑑を他の相続人が押したのかもしれませんよね。
いえいえ、間違いなく本人が遺産分割協議書の内容に同意して押しました!という証明が「印鑑証明書」なのです。
印鑑証明書は相続人全員の分が必要で、これは、銀行の解約や不動産の登記を行う際に必要書類となります。
つまり、「遺産分割協議書に実印を押す」と「印鑑証明書を提出する」はセットなのです。
片方だけでは、まったく意味がありません。
例外
相続手続に印鑑証明書がマストというお話はしましたが、実は例外があります。
それは、ざっくり説明すると、「遺産分割協議書を作る必要が無い場合」です。
遺言書がある場合
亡くなった方が遺言書を作っていて、遺産分割協議書が無くても相続手続ができる場合。
これは、特に実印を押す場面がありませんので、印鑑証明書も必要ありません。
遺言があれば、銀行の解約や不動産の名義変更なども遺産分割協議書無しで進められます。
ただし、手続をする相続人(相続人代表者)や、その財産を受け取る人は、銀行や法務局(不動産の手続きをするところ)から実印の押印や印鑑証明書の提出を求められる場合があります。
財産が少額な場合
銀行の預金などは、残高が少ない場合(だいたい各銀行100万円以下)は、遺産分割協議書の提出が必須ではありません。
簡易的な手続きで解約ができるため、相続人全員の印鑑証明書も省略できる場合があります。
ただし、不動産が相続財産にある場合、いくら価値が低い土地でも遺産分割協議書が必要となりますので、印鑑証明書も相続人全員分必要です。
まとめ
- 相続手続に印鑑証明書はほぼマスト
- 印鑑証明書は実印の証明
- 印鑑証明書が必要でない場合もある
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