実際の相続税申告でも漏れやすい端株ってなに?|税理士でも知らないこと


端株(はかぶ)とは何でしょうか?
相続とどう関係があるのでしょう?

株をやっていなければ、あまり聞きなれないですが、亡くなった方が株をもっていた場合、相続手続であなたにも関係してくるかもしれません。
詳細について、見てみましょう。

端株とは?

本来の「端株」とは、1株に満たない株(0.1株とか)を指します。
ただし、実務的には、単元未満株(たんげんみまんかぶ)と同じ意味合いで使ったりもします。

株式は銘柄によって単元が決まっています。
たとえば、100株で1単元といった感じです。
つまり、1単元に満たない株式が「単元未満株」というわけです。

言葉の意味

「端株」:1株に満たない株
「単元未満株」:1単元に満たない株

相続手続でも、金融機関の方に「端株」と言っても、「単元未満株」と捉えて手続きしてくれます。
※ここでは、「端株」=「単元未満株」という意味で説明していきます。(本来の意味はちがいます)

端株ができた訳

株が以前は株券(紙)だったのをご存知でしょうか?
株券自体、あまり見たことがないかと思います。

平成21年に株券が電子化された際、電子化されずに証券会社の口座へ移管されなかった株式が相続で問題となる「端株」です。

例えば、電子化前に、ある銘柄を150株(1単元=100株)持っていた人が、100株だけ電子化したという状態です。
残りの50株はどこに行ってしまったのでしょうか?

答えは株主名簿管理人である信託銀行等に保管されています。

端株の取扱い

たとえ電子化されていなくても、株主としての権利が失われてしまったわけではありません
きちんと配当もついてきます。

ただ、電子化されていないため、証券会社での取り扱いができず、そのままの状態で売ったりすることができません。
亡くなった方が株主の場合、端株の存在を忘れてしまっているかもしれません。

端株があるか調べる方法

簡単に調べる方法があります!

それは、「配当金の計算書(配当がつく時期に株主名簿管理人から送られてくる書類)」と、「証券会社の取引明細書」の株数を比較すればわかります。

前述のとおり、電子化されていなくても配当はつきます。
ただし、証券会社預かりになっていないため、証券会社の明細には株数が載ってこないというわけです。

たとえば、ある銘柄を本来150株所有している人が、100株だけ電子化されているとします。
すると、こうなります。

・配当金の明細書の株数:150株
・証券会社の取引明細書の株数:100株(残り50株は株主名簿管理人預かり)

調べて同じ株数であれば、その銘柄に関して端株は無いということになります。

端株があると分かった時の相続手続き

端株が確認できたら、相続の手間はグッと増えます。。。
残念ですが、仕方ありません。

特に、相続税申告がある場合、端株はもれやすいので、きちんと調べる必要があります。
実際の相続相談でも、税理士さんが相続税申告したのに、端株がもれていて(解約の際に発覚)、修正申告し直したということもありました。
※相続税申告は別事務所の税理士さん(私とは無関係)で、修正申告は私から相続に詳しい税理士さんをご紹介しました。

具体的な手続きについて、説明します。

残高証明書を取る

まずは、残高証明書を取りましょう。
株式は、銘柄ごとに株主名簿管理人がちがいます。

株主名簿管理人は、主にUFJ信託銀行、三井住友信託銀行、みずほ信託銀行のいずれかですが、ネットで「銘柄(具体的に)」と「株主名簿管理人」と検索すれば調べられます。
あるいは、配当金の計算書は株主名簿管理人から送られてくるので、そこに載っています。

残高証明書の取り方は銀行などと同じです。詳細はこちらから。
「行政書士が教える残高証明書とり方のコツ|相続税申告で使えます!」

ちなみに、端株の残高証明書は手数料が無料です。

注意点

①残高証明書を依頼する際は、「その信託銀行で管理しているすべての銘柄」について調べてもらってください!
②ついでに未収配当金も調べましょう

①についてですが、よくよく考えてみてください。
先程の150株もっている人の例では、100株が証券会社預かり、残り50株が信託銀行預かりになっています。
これが、実際は、もともと50株しか持っていない人だったらどうでしょう?

証券会社預かりはゼロ、信託銀行に50株あることになります。
(配当は50株分つきますが、そもそも配当金がでない銘柄は配当金明細書が来ません)

そういった銘柄もついでに調べてもらうために、「すべての銘柄」について残高証明書を依頼してください
※実際に調べてみると、端株しかない(証券会社にその銘柄で預かりがない)ことは、たまにあります。

②については、「未収配当金(受け取っていない配当金)」も株主名簿管理人が管理しています。
未収配当金には受け取れる期限があるのですが、銘柄ごとにちがっていて、3年とか5年だったりします。
それも残高証明書を依頼すればわかりますので、あわせて調べてみましょう。(未収配当金も相続財産となります)

信託銀行の残高証明書は取得するのに非常に時間がかかります。
ウソみたいな話ですが、窓口に行くと、たいてい「1~2か月かかります」と言われます!
(繁忙期は「2~3か月かかります」と1か月上乗せされます)

相続税申告に間に合わなくなると困りますので、お早めに準備しましょう!

解約手続きをする

信託銀行にある端株もきちんと手続きをすれば相続できます。
端株の手続きはいくつか方法がありますが、基本的には相続人の証券会社の口座へ移管することになります。

どこの証券口座でも移管できますので、持っていない場合は、証券口座を用意しておきましょう。


相続手続きの中でも、端株の扱いは難しいです。
手続き自体も煩雑ですが、税理士さんであっても相続に慣れていない人は端株の確認を知らなかったりします。
亡くなった方が株式を保有されている場合は、十分注意して手続きを進めてみてください。

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