行政書士が教える!自分でできる相続の銀行解約手続き


相続が始まって、すぐに思いつくのは、「銀行口座解約しなきゃ!」ではないでしょうか?
実際に相続手続で銀行の解約を行っている行政書士が、手続きの詳細をご説明致します!

銀行の解約手続きに必要なもの

ここでは、前提として、遺産分割協議書へ相続人全員が署名・押印している段階と仮定します。
その上で、解約に必要な書類等をご説明致します。

一から相続手続きを始めたい方はこちらから
「相続手続」

残高証明の時と似ていますが、それより提出書類が多くなります。

【必要書類】

  1. 相続届(各銀行独自の様式で、銀行窓口や郵送などで銀行からもらう)
  2. 被相続人の出生~死亡までの一連の戸籍
  3. 相続人全員の現在戸籍
  4. 遺産分割協議書(相続人全員の署名・押印済)
  5. 相続人全員の印鑑証明書
  6. 手続きをする相続人の実印
  7. 手続きをする相続人の身分証(運転免許証など
  8. 被相続人の通帳、キャッシュカード、定期証書など(あれば)
  9. 受取口座情報(相続財産の入金先)

1. 相続届について

遺産分割協議書でどの財産を誰がもらうと決めていても、解約をしようとしている銀行の相続届に記入・押印する必要があります。
これは、銀行側が手続きを進める上で必要な書類なので、窓口でもらう、あるいは郵送してもらうなどして代表者が記入しましょう。

ちなみに、解約は通常、その銀行の財産をもらう人が窓口に行きます。
受け取る人が代表して相続届に記入・押印しましょう。

あまりよく認識されていない場合がありますが、「相続届」とは、言ってみれば、「その銀行独自の遺産分割協議書」です。
相続届に書いてある小さい文字をよく読めば、そのようなことが書いてあります。

故人の取引銀行が3つあれば、それぞれの銀行の解約届に相続人全員が署名・押印して解約するという方法もありますが、それは少し面倒ですし、最終的に財産全体をどう分けたかを記録した書類がありません。

そのため、遺産分割協議書(すべての財産についてまとめた書類)を作って、相続人全員が一度だけ署名・押印するという形をとっているのです。

遺産分割協議書を別途提出すれば、銀行の相続届は代表者の記入・押印(実印)だけで手続きできます。
わざわざ他の相続人に署名・押印してもらう手間が省けます。

書き方は、「遺産分割協議書を作った」と銀行の方に伝えた上で、窓口等で聞きましょう。
遺産分割協議書があるかどうかで書き方がだいぶ変わってきます。

2~3. 戸籍一式について

相続手続きでは、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍や、相続人全員の現在戸籍が必要となります。
必要な戸籍はケースごとにちがいますので、詳しくはこちらから

「こんなに大変!相続手続で必要となる戸籍」

複数の銀行で手続きをする場合は、「戸籍の原本は返してください」と伝えましょう。
そうすると、窓口でコピーを取って、原本を返してくれます。
※その分、待ち時間は長くなりますが。。。

4. 遺産分割協議書について

亡くなった方のすべての財産について、相続人全員で分け方を話し合い、協議書としてまとめましょう。
遺産分割協議書には、すべての相続人が署名・押印している必要があります。
(※誰が相続人かを証明するために、戸籍一式を提出します)
印鑑は必ず実印を押してください。

遺産分割協議書は「こういう風に書かないといけない」という決まった形式がありません。
書き方は自由です。
ですが、手続を受ける側(銀行であったり法務局であったり)が、「このように書いてないと手続きできません」というポイントがあります。

銀行の解約手続では、以下のポイントに気を付けてください。

遺産分割協議書の書き方ポイント!

  1. 銀行名、支店名、預貯金の種類(普通とか定期とか)、口座番号を省略せずに書く
  2. 金額は入れなくていい

まず、①についてですが、残高証明書を元に、省略せずにキチンと書きましょう。
口座が複数あった場合、すべて記載します。
総合口座の場合、普通預金と定期預金で口座番号がちがうことがあるので注意してください。

②については、遺産分割協議書を作る人によってちがいます。
残高と、その日付を入れる専門家もいますが、解約手続という視点で見ると、金額は入れなくてもOKです。

むしろ、金額を入れてしまうと、「死亡時点の残高証明書」と「解約時の預金額」がちがってくるため、訂正を求められる場合があります。
金額を入れなくても、「口座そのものを○○(相続人)が相続する」という内容になっていれば、誰も文句の付けようがありません。

5. 印鑑証明書について

4. 遺産分割協議書にはすべての相続人が実印を押します。
その実印が本物かどうかを証明するために、印鑑証明書を提出します。

印鑑証明書について注意!

銀行手続きの場合、印鑑証明書は期限があるのでご注意を!
銀行によってちがいますが、大体6か月です。
3か月の銀行もあるので確認の上、提出してください。


6. 相続人の実印について

  1. 相続届に、手続をする相続人が印鑑を押す必要がありますので、銀行窓口に持参してください。

7. 相続人の身分証について

念のために持って行きましょう。
窓口で提示を求められたら、見せましょう。

8. 被相続人の通帳等について

解約の際、亡くなった方の通帳、キャッシュカード、定期証書などはすべて銀行に提出します。
通帳は、「解約済」のハンコが押されて戻ってきますが、キャッシュカードは戻ってきません。
※中には、キャッシュカードは処分しておいてくださいと言われ、受け取られない銀行もあります。

通帳等が無くても、解約手続は進められますが、「紛失届」を書かないといけない場合があります。
解約までの間に、亡くなった方の荷物を確認し、なるべく銀行に提出するようにしましょう。

同じ口座の通帳が何冊もある場合は、一番新しい通帳のみでOKです。
定期など、口座がすべて生きている場合は、すべての通帳を持参するようにしましょう。

9. 受取口座情報について

これは、その銀行の財産を受け取る「相続人の銀行口座」のことです。
1. 相続届に記載しますので、手続の際に口座の分かるものを持って行きましょう。

受取口座ですが、同じ銀行だと手数料が安く済む場合が多いです。(他行だと高くなる)
ただ、受け取った相続財産を一か所にまとめておきたいと思う場合もあると思いますので、よく考えて受取口座を決めましょう。

ちなみに、ゆうちょ銀行は特殊で、ゆうちょ銀行でしか受け取れません
ゆうちょ口座を持っていなかったり、他行に入金したい場合は、「払出証書」という受け取り方にしましょう。

解約の際、「払出証書」を選ぶと、自宅に払出証書というクーポン券のようなものが届きます。
これをゆうちょ窓口に持って行くと、現金と交換してくれます。

他行に入れたい場合は、その場で入金しましょう。

どの銀行でも解約手続は大体1~2週間ぐらいで指定の口座に入金されます。
解約されると、解約済みの通帳と一緒に、振込の内訳が送られてきます。
内容を確認した上で、相続の記録として保管しておきましょう。

まとめ

はじめての解約手続だと、何かと戸惑うことも多いと思います。
銀行の方に言われるまま、書類をそろえて、役所と銀行を行ったり来たりする方もいらっしゃると思います。

銀行も役所も平日しか対応していないので、仕事を休んで行く場合、なるべく少ない回数で済ませたいですよね。
電話で問い合わせる等、事前準備をしっかりしてから訪問するようにしましょう!
(電話で問い合わせた場合は、答えた方のお名前を聞いておきましょう。別の方が窓口対応される場合、全然ちがうことを言われたりしますので、電話で対応された方に確認した旨伝えましょう。)

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