民法改正をわかりやすく解説!④ ~預貯金の払戻し制度の創設~
被相続人が亡くなったことを金融機関に届け出ると、口座は凍結され、遺産分割協議が終わるまでは預貯金の出し入れができなくなります。
遺産分割協議書には、相続人全員の署名が必要となるため、相続人の一人が故人の預貯金を引き出すことはできません。
そのため、葬儀費用や生活費など当面必要となるお金は、相続人自らが立て替える必要がありました。
民法の改正による預金の払戻し制度について、詳しく見てみましょう!
改正によるメリット
預貯金の一定額を払い戻しできる
預貯金の払い戻し金額には決まりがあります。
(相続開始時の預金残高)×1/3×(請求者の法定相続分)です。
ただし、一金融機関につき、150万円が上限となります。
【例】
・ある金融機関の死亡時の残高:1200万円
・配偶者がこの制度を利用する
・相続人:配偶者、子1人の計2名
1200万円×1/3×1/2(配偶者の法定相続分)= 200万円
ただし、上限150万円のため、払い戻せるのは150万円です。
さらなる仮払いについて
さらに払い戻しが必要な場合は、家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようになりました。
注意点
一つは、口座凍結はそのまま継続しているという点です。
払い戻した後の残りの預貯金に関しては、従来通り、遺産分割協議書を進めて手続きをする必要があります。
また、相続財産は「亡くなった日の預金残高」で評価するため、実際の解約の際に払い戻した分は当然減っています。
この払い戻し制度を利用して葬儀費用を支払った場合、代償金などを決める際に、払い戻し分を考慮する必要があります。
いつから始まる?
令和元年7月1日より始まっています。
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