民法改正⑥ ~遺産分割前の財産処分~

故人が亡くなったことを金融機関に伝えると、口座が凍結されます。
ただし、役所などで死亡届を出しても、役所から金融機関へ自動で連絡がいってしまう訳ではなく、各自が金融機関へ届け出る必要があります。

そのため、口座が凍結される前に、相続人の一人がキャッシュカードなどで預金を引き出してしまうことができます(暗証番号を知っていれば)。
従来、遺産分割がまとまるまでの間に引き出された預金は、相続人間での揉め事となるケースが多かったのですが、今回の改正で、遺産分割前の財産処分について見直しが行われました。

預金を引き出してもめるケース

母が亡くなって、相続人が長男、長女の計2名の場合。
相続財産は、(死亡時)預金2000万円でしたが、口座凍結がされる前に、長男が500万円を引き出して使ってしまったとします。

従来であれば、残った1500万円を長男、長女が1/2ずつ(750万円)ずつ相続し、不公平がありました。
※本来、相続財産とは「死亡日時点での残高(2000万円)」のため、長男が使った500万円を相続財産に組み込むこともできますが、長男がそれに同意しない場合、遺産分割そのものがまとまらない可能性がありました。

改正によりこう変わった

上記事例でいくと、改正により、長男の同意を得ることなく、500万円は相続財産として遺産分割の対象とすることができるようになりました。

長男:(先に引き出した)500万円+(分割協議で決まった)500万円
長女:(法定相続分)1000万円

※当事務所にご依頼いただけますと、死亡日時点での残高証明書を金融機関より取得し、財産目録を作成します。

いつから始まる?

令和元年7月1日より始まっています。

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